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【本】ヒュームの探求: 『人間本性論』における心と行動の合理的・経験的分析

★この記事を読むと、「デイヴィッド・ヒューム」が1739年から1740年にかけて発表した哲学的著作『人間本性論』が読みたくなります。

 

★詳細はこちら→『人間本性論 - Wikipedia

 

★詳細はこちら→『デイヴィッド・ヒューム - Wikipedia

 

 

【知識、自己、感情をめぐる哲学的探訪】

 

①『知覚の理論(Theory of Perception)』

 

インプレッションとアイデア:

ヒュームは全ての思考内容を感覚や情緒の「インプレッション(印象)」と、それらに基づく「アイデア(概念)」に区分しました。インプレッションは生き生きとして直接的な体験を指し、アイデアはそれらの記憶や想像です。

 

組み合わせ、関係、抽象化:

人の心はアイデアを組み合わせ、関連付け、抽象化することで、新たな思考を生み出します。

 

②『因果関係の理解(Understanding Causation)』

 

因果関係の知覚には経験が基礎にある:

ヒュームは因果関係は直接的に観察されるわけではなく、経験に基づく習慣的な予測に過ぎないと主張しました。我々はある事象が繰り返し別の事象に続くことを経験することによって、因果関係を学ぶのです。

 

③『自己の理解(Understanding the Self)』

 

不変的な自己の否定:

ヒュームは一貫した、不変の「自己」は存在しないと考えました。彼によれば、自己は感覚、感情、思考などの一時的なインプレッションとアイデアの流れであり、それ以上の実体はないとされます。

 

④『情緒と道徳(Emotions and Morality)』

 

感情の役割:

ヒュームは道徳的判断が理性だけでなく、感情に大きく依存していると考えました。善悪の区別は合理的推論よりも、人間の感情に根ざしています。

 

同情の原理:

同情(empathy)が社会的な絆や道徳的判断の基礎であるとヒュームは指摘しました。

 

⑤『自由意志と必然性(Free Will and Necessity)』

 

必然性と自由意志の両立:

ヒュームは、すべての事象(人間の行動を含む)が因果律に支配されている(必然性)という考えと、個人の自由意志は存在するという見解を両立させようとしました。彼は、自由意志は自らの行動を選択する能力を指し、これが因果律と矛盾しないと考えました。

 

【まとめ】

デイヴィッド・ヒュームの『人間本性論』は、人間の認識、感情、道徳性を探求する画期的な作品で、知覚のインプレッションとアイデア、因果関係の経験的理解、流動的な自己概念、感情に基づく道徳判断、そして自由意志と必然性の両立という5つの主要なテーマを通じて、人間の心と行動を合理的かつ経験的に分析し、後の科学的、哲学的思考に深い影響を与えました。