★この記事を読むと、フランスの哲学者である「カミュ」が1942年に発表した著作『シーシュポスの神話』が読みたくなります。
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【概要】
アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』(Le Mythe de Sisyphe)は、不条理の概念を探求する哲学的エッセイです。カミュは、人間の存在と無意味な宇宙との間の永遠の矛盾を「不条理」と定義し、その不条理にどう対峙するかを問います。
彼は、自殺を不条理からの逃避として退け、代わりに不条理を受け入れ、それに抗うことで人生を肯定することの重要性を説きます。
この作品は、不条理という存在の条件を受け入れつつ、その中で個人が意味を見出し、幸福を実現する可能性を探るものです。
【岩を転がす者の笑顔】
①『不条理の概念』
カミュは、人間が世界に秩序や意味を求める本能と、そのような秩序や意味が基本的に存在しない世界との間の断絶を「不条理」と定義します。この断絶が、人間の存在の根本的な矛盾を生み出すとカミュは主張しています。
②『シーシュポスの神話との比較』
タイトルにもなっているシーシュポスの神話は、この思想の象徴です。シーシュポスは神々に反逆した罰として、岩を山の頂上に転がし上げるという無意味な労働を永遠に続けさせられます。カミュは、シーシュポスがその無意味な労働においても幸福を見出すことができると解釈し、人間もまた不条理な世界で生きることにある種の幸福を見出すことができると提案します。
③『自殺についての考察』
カミュは『シーシュポスの神話』の中で、不条理に直面した人間が自殺を考えることを扱いますが、これを否定的に見ます。彼は、不条理に立ち向かうことによってのみ、人生の真の価値が見出されると主張し、自殺は不条理からの逃避であるとして、それを拒否します。
④『反抗の価値』
カミュにとって、不条理に抗うこと自体が人生を生きる価値を創出します。シーシュポスのように、無意味な労働に従事しながらも、その状況に抗い続けることによって人は自己の存在を肯定することができるのです。
⑤『幸福とは何か』
この作品の最後に、カミュはシーシュポスがその苦悩の中で幸福を見出す瞬間を想像します。彼にとって、幸福は不条理を認識し、それにもかかわらず生き続けることにあると述べています。つまり、人生の意味や目的を超えたところにある、個人的な反抗と自己の肯定によって得られる幸福です。
【まとめ】
アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』は、人間が本能的に意味や秩序を求めるものの、そうしたものが基本的に存在しない不条理な世界との間の断絶を探求しています。
カミュは、この不条理に直面した時、自殺ではなく、シーシュポスの神話に見られるような永遠に無意味な労働を受け入れ、それに抗い続けることにより人生の真の価値を見出すことができると主張します。
この抗いは、不条理な状況を認識し、それにもかかわらず生き続けることによって、人生における個人的な幸福と自己肯定を得ることができるという見解に結びつきます。
カミュにとって、人生の意義は、不条理に抗いながら見出される個人的な反抗と自己の肯定にあるのです。